2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方  藤野1時間30分講演  文字起こし

2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方 藤野1時間30分講演 文字起こし

 

__「これから私たちは幸せになるのか?」という問いを立てたら、みなさんどうですか?
 
「幸せになるんじゃないかな!」「いやあ、そうじゃない」の匿名アンケートをします。
みなさん目をつぶって手を挙げてください。
 
はい、ありがとうございます。
だいたい2割くらいの方が「そうじゃない」に手をあげていました。
 
これ実は面白い話があって、2年くらい前に同じ話をしたときには、半分くらいの人が「ハッピーにならないんじゃないか」と言っていました。

 

人工知能は人の仕事を奪う、と思っている人の仕事が奪われる!

さて「人工知能が人の能力を奪ってしまう」と今世間では騒がれているわけですが、まず冒頭で申し上げたいのが「人工知能は人の仕事を奪う」と思っている人の仕事が奪われます。
 
そうじゃなくて、人工知能はあくまでツールなんだと。
それを上手く使う側に回ったほうがハッピーになれるんじゃないかと。
だってこれまで人がやってくれていたことを人工知能がやってくれたとしたら時間が空くじゃないですか。「ラッキー、じゃあ使ってみよう!」この感じがとても重要。
「奪われる」って捉えた時点で、ちょっとダサいっていう…。
 
なので、今日は「人工知能は人の仕事を奪うと言う考え=ダサい(違う)」っていうことを持って帰ってもらえたらいいかなと思っています。
 
ここにいらっしゃる方は人事総務や経営者の方だと思いますが、間違っても社員の皆さんに「人工知能に奪われないような仕事の仕方をしてください」とか言うのは、すごいダサいんです。もし、社長がそう言っていたら、その社長はダサいんです。
 
なぜか。

 
そうじゃないよと。「どうやったら人がハッピーになれるか」という問いを立てなきゃいけない。
結構この話は重要で、この2年間くらい僕は、中小企業のいろんな会社で社長さんたちに話をする機会があったんですけど、彼らは「社員に言ってた」「社員のことビビらせてやろうと思ってた」「危機感をあおってやろうと思ってた」「人間らしい仕事をしろよっていう意味で使ってた」って言うんです。
しかし、人の不安を煽っても、実は変わりません。
不安になればなるほど亀のように固くなるのが人間です。
まして人間は変化を好まない。
だから、無理に変化させようとすると、むしろ閉じこもってしまうんです。
 
じゃあどうしたらいいのか。
 
私たちは、「テクノロジーとは、今どんな進化があって、それがどんな喜びを与えてくれるのかを知りましょう」と。今日のまず一つ目はそれについての話。
 
もうひとつは、「テクノロジーが進化すると私たちはどんな働き方やどんな仕事術、どんな心の在り方であったら幸せになれるのか」っていう自分なりの見解を(本にまとめたことなのですが)、お話できたらなと思っています。
 
それでは、よろしくお願いします。

 

日光を浴びず激務で働いたら4ヵ月で体を壊した!

僕は「ワークスタイルクリエイター」という肩書きを自分でつけまして、ハイパーメディアクリエイターとよく間違われるんですけど、まあ似たようなもんです(笑)。
 
何で僕が2007年に「働きごこち研究所」っていう会社の名前をつけたかというと、
僕自身が働くことに悩んでいたからです。
 
私は一つ目の会社がアクセンチュアっていう、外資系のコンサル会社に入りまして(2002年)、その後人事コンサル会社、ベンチャー広告企業(マザーズに上場して社員数200人くらいの頃)に入って一気に採用を3倍にするっていうプロジェクトの採用担当をやったんです。でも、ひどいもので、毎週月曜日に新しい人が増えてくるわけですから、会社の中のコミュニケーションがうまくいかなくてガタガタになります。
 
その中で、どうやったら会社の組織が、お互いが上手くいくか、協力関係ができていくか。
みんなバラバラに集まってきた人たちが、同じ思いをもって仕事をするにはどうしたらいいか。人事とか経営企画の立場でそういったことをやっておりました。
結構働いていましたよ。23~27歳まで、合コンも一回もしたことありませんから(笑)。
でも、結婚しちゃいました。
 
深夜まで毎日働いて、働くことに疲れちゃったんですね。
 
それで、東京を飛び出すことをしました。今住んでいるのは愛知県の西尾市幡豆町(はずちょう)ってとこなんですが、知っている人いますか? 中日新聞にも出たので、そろそろ覚えておいてもらいたいんですが、「ハズフォルニア」って名前で僕がブランディングしてまして。「夕日がカリフォルニアみたいじゃないか」ってシャレで言ってたら、移住者の若者が多い地域なんですが、かなり盛り上がってきましてね。雑誌「ソトコト」や中日新聞なんかが取材に来たりして注目されているんです。
 
僕はそこで民泊もやっていて、海が見える古民家を仲間たちと自分たちで大工仕事やって改装したんです(2年前になりますが)。“闇民泊”は嫌だったので、簡易宿泊免許も取って。そしたら、世界中から人が泊まりに来るんです。オランダとかペルーとかから…。
あとは寺部海水浴場で海の家を破格で借りてリノベーションしたりもしてます。よかったら海の家にも来てください!
 
っていう話を、僕今すごく楽しそうにしてるじゃないですか。
 
でも東京で働いていた当時の僕は、地下鉄で家からオフィスに通い、六本木の駅直結のエレベーターで32階の会社に行って、夜遅く帰るだけ。朝も昼も夜も会社の中で、ずっと日光を浴びない生活をしていました。するとどうなるか、人間はセロトニンという脳内分泌ホルモンがあって、幸せホルモンっていうんですが、それが減るんですね。
鬱になりそうなくらい働いていた当時、一番忙しかったのが、日光量が少ない冬の12~4月の4ヵ月だったんですが、4ヵ月目についに(心身が)おかしくなりまして。それで、東京を飛び出したと。
 
今、日に焼けて真っ黒なのは、サーフィンしたり田んぼ仕事をしたりしてるからなんですけど、この5、6年よく日光を浴びるようになったら、元気になりました。
 
なので、これからオフィスを作るときにも、中だけじゃなくて、どう外とつながるかってのも重要だなと思います。でも、高層ビルだと中々難しいですけどね…。

 

AI研究者は今「そもそも人間とはなんなのか」を研究している

先日あるオフィスで面白いなと思ったのが、スクウェア・エニックスっていう会社で、新宿6丁目にあるんですが、そこの総務部長さんは日本ファシリティマネージメント協会(オフィスよくする協会)の理事長の方なんですけど、「オフィスは社員にとって暮らす場」だと。
 
ゲームのファイナルファンタジーなんかを作ってる会社なので、そのチームだけで60人くらいいるそうなんですが、あれだけの大作を作るとなると、不眠不休になるわけですよ。
つまり彼らは、そこに住んでいるような状況になるわけです。ですから、「そのオフィスが、社員にとって(エンジニアにとって)、心地いい場所でなければいけないんだ」って。
何をしたかというと、サンルームや仮眠室を作って、香り、照明、五感をフル活用させたそうです。知覚、聴覚、嗅覚、味覚、触り心地とか…。
 
何が言いたいかっていうと、今話したセロトニンとか視覚、嗅覚っていうのは人間の体の話なんですが、AIを理解するときにテクノロジーだけを理解してはダメなんです。
 
テクノロジーっていうのは、人間のためにあるんです。セットで考えないといけない。つまり、AIが進化するっていうことは、同時に人間はどう進化すべきかを考えなきゃいけないと。「そもそも人間とはなんなのか」。AI研究者っていうのはそのことを研究しているんです。たとえば、AIに心の感情を持たせようとしているチームがいます。彼らは、人間の心とは何のかを研究しています。そのために「役者になる」とか本気でやっています。
 
それから、人間の体と同じように動くロボットを作ろうとしている人たちは、人間の体とはどう機能しているかを研究しています。
 
ですから、AIやロボットの研究者は人間を研究しています。これが面白い!
なので、私は超文系のプログラミングも出来ない人間なのですが、テクノロジーのことを勉強しています。
 
僕はオフィスをもたない働き方を行って10年になります。どこで仕事をしているかというと、「自分にとって心地いい場所で」です。夏は地元の海の家で仕事をしているので、お客さんにはそこに来てもらっています。
彼らは10時に僕の海の家に直行して、1時間半くらい気持ちよく話をして、13時くらいからオフィスに戻って仕事をするわけです。「こういうのいいね」と皆さんおっしゃいます。

 

テクノロジーリテラシーの格差について

半年ほど前、僕はAIビジネス評論家として、TV「ホンマでっかTV」(1/10放送)にも出ました。そのとき何が面白かったって、フジテレビの制作会社からFAXが届いたんです!
2014年にアメリカのスミソニアン博物館に“過去の遺物”として展示されている“FAX”ですよ。ちなみに「※日本ではまだ使われていると」という注意書きもあるらしいです(笑)
またある仕事で、業務依頼書がFAXで来たんです!6枚も!念のため先方に連絡したら「何もしなくていいです!」って(笑)。
 
…ヤバいですよね。彼らへのテクノロジーリテラシーをどう上げるかが僕の仕事。
 
テクノロジーに強いのはもちろんですが、人間として強いリーダーに育てるかが僕の今の仕事だと思っています。
 

今の企業のトップの人たちは、テクノロジー自体は知識があって、むしろミドルクラスの人が知らない。
なぜか。
 
視野が狭いから。
 
まずは彼らに目に入るようになってほしい。
AI、IOTを「やらないと!」、というのはトップの方は知っている。でも、下からたとえば「クラウド形式をやりましょう」と上がってきても「わかった、検討しておく」と数ヵ月寝かせてしまう。
 
今日乗ったタクシー広告もクラウドサービスばっかりでした。
ビズリーチ、チャットボット…資金調達。そのお金をマーケティングに使っているんです。
なぜか。「タクシーに乗っているおじさんたち(企業のトップの人たち)に耳に目に入れるため」に。
 
20年後どうなるかはわからないですけど、大事なのは、その潮流に乗ること!
AIが2035年に人間より賢くなるといった「シンギュラリティ」のはどうでもいい。飲み会のネタでしかないんです。
 
そんなことよりも、「今のことを考えようよ」と。
2035年に時代遅れの会社にならないようにね。
 

新しい技術は5~7年で進化していくんです。
たとえば、
2002年 メール
2007年 スマホ(ジョブズがiPhoneをプレゼンした年)
2014年 アジアやアフリカではTVもパソコンも持ってないけどスマホでYoutubeを見るのは当たり前になった
とすると、7年後の2020年は、スマホやテレビと同じように、AIが当たり前のように入っているであろう、と予測できるわけです。

 

「Google Lens」「Amazon GO」「NVIDIA」新しいテクノロジーを使うとこうなる!

人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる「ディープラーニング」とは、
分かりやすく言うと「機械が目をもった」ということなんです。その例を3つご紹介しましょう。
 
まずは、グーグルが去年5月に発表した「Google Lens(グーグルレンズ)」というものを知っている人いますか?
たとえばカメラを花にかざすと、その花が何なのか分かるというもの。
これって、実は人間がやっていることをコンピューターがやっているだけのことなんです。
 
こんな風に、難しいテクノロジーの用語もできるだけ人間の体になぞらえて話すと腑に落ちるんです。
 
目で見たものを脳で何なのかを認識するのが「画像認識」。
目で見て(スマホのカメラをかざして)脳のデータ(クラウド上のデータ)と照らし合わせて解釈する。
ただそれだけ。でも今まではできなかったということ。
 
他には、WifiのIDとパスワードを入れれば、道を歩いていて気になるお店をカメラにかざすとスマホにその店のレビューが出るっていう。ストリートビューと食べログをくっつければ、こんなこともできるんですね。
今年自由に使えるようになるんじゃないかと言われています。
「横展開するといろんなアイデアが出てくる」ということが分かったでしょうか。

 
2つ目はAmazon GO(アマゾンゴー)」。今年の正月にニュースに出ていたんですが、ご存知ですか? レジがない無人のAIコンビニなので、まるで万引き映像みたいですが(笑)、ありえないのを実現しちゃうのがAmazonのすごいところ!
アプリを入れると、個人が認証されてカメラと合わせて持った商品を認識していく。
実行はどうしているかというと、コンピュータビジョン、センサーフュージョン、ディープラーニングアルゴリズム…、はいきた、もうお腹いっぱいですってなるでしょう。
これがIT用語の罠なんです!ITをかじった人だけが使っていくので、つまり差が広がるだけ。本当のITリテラシーというのは、IT用語を使わずに説明することなんです!
 
頭で言葉を理解しても意味がない(身体知という)、身体で理解しないと!
自転車に乗るのはどれだけ本を読んでも乗れるようにならないですよね。

 
3つ目はNVIDIA(エヌビディア)」というトヨタの自動運転のサービス(2016年になりますが)。これは、「失敗しながら学習していく自動運転」です。車の中と外にカメラがついていて少しずつ覚えていくんです。「カラーコーンはよけるもの」とか。最初はぶつかりながらね。すると、初めて見たものもよけるものと認識してよけている。S字クランクもスイスイです。
有る実験で、カリフォルニア州と反対のニュージャージー州で走ってみたり。視界の悪い夜でも雨でも走れることが実証された。これも、自分が車だと思ったらいい。人間ていうのは、動きながら話しながら、目で見ながら認識できる、めちゃめちゃパフォーマンスが高い生き物なんです。
人間は同時にマルチにいろんなことができるけど、一つのことを深堀していくと飽きちゃうんです。同じことをしゃべり続けると疲れるし飽きちゃうんです。
でもAIはそこは得意!
 
「新産業構造ビジョン」ていう2016年4月に経済産業省がこれからの産業をどう進化させていくかを129PのPDFでまとまったものがあるんですが、「読んでも誰も分からない」っていうのが2016年のITリテラシーでした。
自分の会社はこれが分かりますか?

 
~ここまでのまとめ~
・AI(人工知能)、IOT(Internet of Things)、フィンテック(ファイナンステクノロジー)…キーワードは知っているけれど、自分の言葉で語れる人は少ない。

・企業間、個人間でITの情報格差が広がっている

・20世紀はマーケティングやファイナンスを勉強した人が社長になってきた時代。でも
21世紀は間違いなく、テクノロジーに強い会社が買っていく!

 
「テクノロジー?若い奴の仕事でしょ」、「IT部の仕事でしょ」…それだとまずいですよ!
テクノロジーは経営そのものですよ!
さらに専門用語を使わずに自分の言葉ですっと説明できるか、これが重要です。
僕も今「ブロックチェーン」を勉強中なんですが、正直よくわからないです。
 
じゃあどうするか。「これ、こういうことに使えるな」というアイデアが出てきてはじめて知ってると言えるんです。知らないと発注することすらできないですよ。

 


まずは「知る」、「使う」それから「創る!」。 
人気のメルカリにはAI知能がバンバン入っていますから、使ってみましょうよ!LINEのAI女子高生「りんな」としゃべってみましょうよ! まずは遊んでみることからスタートしてみましょうよ。

テクノロジーの知識と今自分が持っている業務を掛け合わせましょう!」、それが面白い仕事ですよ。そういうアイデアを出していく仕事って社内のリーダーがやる仕事じゃないですか。東京オリンピック以降の日本は、これからどうなるか。今までと同じやり方をしていたらダメ!ということが「働き方改革」なんです。テクノロジーを知って使っていくと、人が育っていくんです。そのワクワク感が得られることが重要なんです!

 

AIが苦手なことから人間の仕事を考えよう!

1914年頃~アメリカの工場でT型フォード(近代的な生産方法で製造された史上初の自動車)が生み出されました。同じものを大量にできるだけ効率的に生産することが20世紀はビジネスになったからです。
それが100年の時を経て、今終わりをつげようとしているんです。
なぜって?
テクノロジーの進化によって、個人が自分の力で考えて行動するようになったから。
「私これでいいの?」と思い始めたんです。
 
私が「海の家で仕事をしています」とInstagramにアップすると、2通りのいいね!があるんです。
A:私もそんな働き方をしたい!
B:私は絶対無理!出来ない!と思い込んでいる人
 
Bの人をどうやって変えていくかが「働き方改革」なんです。
みんながそんな働き方をするようになったらいいなと僕は本気で思っている。
たとえば、9~17時で工場で働くような人たちこそ!

 

波動データを感じるコミュニケーションの大切さ


この表を見てください。左下がAIに代替されやすいとされる仕事です。
 
__社内で、社員にずっと同じことをさせて、ロボット扱いしている仕事はないですか?
 
__タクシー運転手は自動運転が始まったらなくなるでしょうか?
たとえば、「すいません、新人なんで道が分からなくて」という運転手がたまにいますよね。「おいおい、Google map持てよ!」って思いますよね(笑)。
彼らは、自分の仕事は車を運転することだと思っているんです。
 
一方、先日大阪での講演があったのですが、時間がぎりぎりになってしまって、新大阪駅から「京橋まで!」とタクシーに飛び乗ったんです。そのタクシー運転手は「急いでいる人だな」と理解した。車内の中で、「講演の待ち合わせ到着時間5分前くらいのギリギリに到着しちゃうんですが」と電話をしていたら「急がないといけない」と理解してくれて、その人は「混んでるんでこっち入りますね」と裏道を行ってくれたおかげで無事間に合ったんです。
彼のような運転手さんなら、AIに仕事を奪われないですよね。
 
何が言いたいかといと、
大事なのは作業としてやらないこと!
人間は人間によって癒されるんです。それはAIには出来ない。
ネイルサロンだって、AIによってボタンひとつでネイルができるようになるかもしれない。でも、それだと味気ない。あの丁寧に施術してくれる時間や空間があって、ネイルサロンというサービスになると思うんです。
だから、一緒にいて気持ちいいことが重要なんです。

 


人間のコミュニケーションを4つに分類すると、話す内容(本やメールなどのテキストデータ)、画像データ(表情やラインスタンプなど)やモーションデータ(動画などの体の動き)と波動データ(声、呼吸、心拍数)っていうのがあるんです。これらがあると人に“伝わる”んです。
 
波動データっていうのは、同じ時間を共有している動物的な時間を意識してコミュニケーションすること。
今アーティストのCDは売れないけど、ライブDVDが売れるのもそう。
僕もたまにテレビ会議をするけど、どうもいまいち伝わらないなっていうことがある。これもそういう理由。より感情が伝わるようにコミュニケーションスキルをあげないといけないなと僕は思います。

 

RPA化させる前に「その仕事いる?」を考えて

単純業務でルール化されている仕事は「オペレーター」の領域。銀行の窓口業務がそれにあたります。それをRPA(Robotic Process Automation)化させるのもいいけれど、その前に「そもそも、その仕事は無くした方がいいんじゃないの?」そういう見直しをしてからRPA化しないといけない。

 

20世紀の「便利」は、誰かの苦労によって成り立っていたんです。Amazonなんかが進化したのは、宅配ドライバーさんたちのおかげですよね。
それがあまりに増えて今、「無理」となってきた。ビルメンテナンスや警備にも限界がきている。テクノロジーとは、そういった仕事を救うようになると僕は思っているんです。

 
こういう話をすると、「俺は若い頃苦労したのに、お前らは苦労を知らないいまま育つ」とかいう人が出てくるんです。でもそれは、その昔、昭和初期のお嫁さんが、お姑さんに
「洗濯機を使って手洗いをしなくなったからダメな嫁ね」と言われているのと同じなんです。お嫁さんは楽になってダメになったか? 別のことに時間を使うようになったり、世界が豊になったはずですよね。
 
ITベンチャーの会社は20代の人が多いので、ある仕事を「自動化しようぜ」、「なくそうぜ」「外に出そう」の決断が早い。残された付加価値の高い業務をやるのが仕事や経営だと思っているから。
 
耳が痛い話かもしれませんが、「社長に聞かせる」、「社内を巻き込む」のがすごい重要なんです!
大企業は前例を踏襲する保守的な思考が今も強いですから、それでいうと、大企業の事務管理系の仕事が一番ヤバいでしょうね…。管理部門は「ミスしない」のが当たり前だと思っている。そんな彼らをどうやったら未来志向にチャレンジさせていくか、が問われているんです。
 
これからの人事総務は、このオフィスの働きごこちを考え、整え、社員の話を聞いていく時間をとっているか、です。
社員一人一人が「自分はどう動くのか」を考えてほしいんです。

 

人とテクノロジーの協働~人にしか答えられない領域は何なのか~

いいリーダーの条件とは
・何のためにやっているのかのビジョンを語り
・人を巻き込むコミュニケーション力を持っている人

これらは、よりテクノロジーが進化していくほど、大切です。
 
テクノロジーに任せることと人がやることをどう切り分けたらいいですか?」とよく質問をもらうんですが、これは「やってみないと分からない」です。
たとえば、チャットボットをやってると、お客さんが不満に思う領域がある。
それを私は“塩梅”と呼んでいるんですが、そこの塩梅を皆トライアルして模索しているところなんです。
 
「人にしか答えられない領域は何なのか」。それを2023年くらいまでに考えないといけないですね。
 
「その仕事やめちゃえば」、と思うことはたくさんあるけれど、やめたことによって何かミスが起きたら嫌だからやめられない、責任とりたくない…これを僕は「仕事なくせない問題」と言っています。
この“やめる”という意思決定は人間がしないといけないから、これが超大変なんです。
経営者はRPAと同時に「この仕事なくせないか」「やめれないか」を考えないといいけない。
 
__働き改革で仕事の生産性が上がって時間ができたら、その間何しますか?
この問いに「仕事する」と答える人が結構多いという事実…。
私たちは仕事が大好き。仕事で時間を埋めているんです。つまり「人間として自分は何がしたいのか」の問いに立っていないっていうことなんです。
 
ここで「ライフシフト(100年時代を生きる)」という話と結びつくんですが、これからは長く生きる時代だからこそ、どう生きるかの答えを自分で探さないといけないと辛くなるよと思って。「AIに自分の仕事が代替されたら私どうなっちゃうの、スキルもないし…」という人が増え始めている。なので、「幸せな働き方」(なんのために働いたら私がハッピーになるのかをテクノロジーを使って考えること)を僕は言い続けています。

 

今の働き方最前線は、テクノロジーに近づくことと離れること

私は今までずっと、「テクノロジーを使いましょうね」という話をしてきました。つまり、
テクノロジーに近づくことを意識しようと。でもそれと同時に、テクノロジーから離れることも意識してください。一見すると矛盾することのように思えます。
なぜこんなことを言っているか。
それは、テクノロジーが進化したときに、人間は「何をすればハッピーなのか」を考えることが、働き方を考える上ではとても重要だからです。

 

離れる=テクノロジーをOFFにする、自然の中に身をおくっていうことなんですけど、こういう両方のことが大事だと思っている最先端の人は、どこに住んでいるでしょうか?
それはアメリカのシリコンバレーの人たちです。
 
彼らは、さんざんテクノロジーを使って生産性を上げ、デジタル化しながら気づいたんです。「俺たちには身体ってものがあって、そのパフォーマンスを上げないと、これ以上の生産性は上がんない」ってことに。なので、彼らは食事法を変えて、睡眠の質を整えて、呼吸法をやって、瞑想をして、イライラを改善するために腸内環境をよくし脳のパフォーマンスをあげることを本気でやっているんです。
 
睡眠を科学するベンチャー企業㈱ニューロスペースの小林孝徳さんという人がいます。彼は、社内で「睡眠の研修」をしているんです。入眠までの時間を早くして、寝る時間が短くても深い眠りにつくというスキルを身に付けるんです。「睡眠はスキルなんです」!
こんなことを会社が考えるなんて今までじゃ考えられなかったですよね。
でも吉野家は、社員の健康、ハピネスを考えて導入していると。睡眠が不規則な店長たちのために!
 
今日話したことが皆さんにどれだけ響いているかわかりませんが、今の働き方の最前線は“テクノロジーに近づくことと離れること”なんです。
 
まずは、社内でこういったことを知る場を作ってみることから始めてください。あとは、クラウドサービスをどんどん利用してみましょうね、ということです。
 
人間っていうのは、こういう矛盾することを大事だと思うんです。「よしテクノロジー使ってみよう」という素直さと「本当か?」という思い。人間は、同時に相反する思考が起こるようになってる生き物で、とても自然なことなんです。
 
「AI勉強してみよう」、「めんどくさい」、それが人間ならではの統合思想です。
AIは何も言わずにデータを食べ続けるんです。鵜呑みにするんです。
 
ですから、「何でやんないといけないの」「めんどくさいな」と社内で言う扱いずらいような人は、実は「何のためにそれをしないといけないと考えている奴」だったりするんです。

 

人間に残されたのはふと湧いた直観力!

「AIを取り入れて上手くいった会社はあるのか」、「前例はあるのか」、大企業の人は言います。ありますけど、「まずあなたはやりたいと思っているんですか」と僕は聞きます。
 
日本の会社はどうしてもエビデンス(根拠)で意思決定をしていく。逆に「前例がないものはやらない」という悪癖を持っている。「面白いからやりたい」と言っても「思いつきでモノを言うな」と返される。しかし、人間に残されたのはこのふと湧いた直観なんですよ。
「なんとなくいい気がする」という直観を無視していくことは、きわめて社員をロボット的にさせていること。
ロジックが要らないと言っているわけではなくて、塩梅(バランス)なんです。そのバランスを整えていくことが、経営者がこれからの組織を作る上で重要だなと思っています。

 

私たちのハッピーは、日常の中にある。それが、人間の生きる力になる!

僕は結構ロジカルな人間です。でも、ロジカル一辺倒になりすぎて人間らしさを失うっていう経験もしてきたわけです。だって働く上で論理だけでは人は動かないじゃないんですか。人間は感情をもっているから。人間、「正論だけ言っても人は動かない」というのを20代中盤くらいに気づいたんです。一応元外資系コンサルのMBAなんで、一応論理はあるんです。
でも、今人間として生きる上で大事だなと思うのは、バランスや塩梅なんですよ。その塩梅っていうのは、たとえば「感情が豊かである」とか、「遊ぶかんじを持っている」とか、「自分の身体がなんなのかを感じる」とか。
 
先日、4月中旬頃に瞑想の合宿に行ってきまして。修行なんですけど。10日間、京都の丹波の山奥で「ヴィパッサナー瞑想」っていうブッダが悟りを開いた瞑想をするんです。もちろん、「携帯もオフ」、さらに「10日間誰とも話さない」んですよ!40人くらいいるんですが、人とすれちがっても会釈もしない。聖なる沈黙ってのをするんですけどね。それで自分に向き合うんですけど…。
「話さない、書かない、読まない」。この3つを守りながら、朝5時起床で6時から瞑想。1日8時間くらい瞑想して、食時の時間があって、夜8時に寝る。
 
でも途中で飽きるんです。2日目に僕の身に起きたのは「煩悩」です。「ゴルフでスカーンと飛ばしている俺」、「サーフィンで波に巻かれて気持ちいいとなってい俺」、海の家で「今年はモヒーと作りたいなと思っている俺」っていう、どうしようもないことがどんどん出てくると。
 
でも、その煩悩は悪いことじゃないんだっていう気づきがあったんです。瞑想や悟りをしていると、そういった煩悩がすべてなくなって成人君主になるみたいなイメージを持つ人もいると思うんですが、僕は気づいたんです。「こういう煩悩が生きる気力だな」って。
 
去年本を出してちょっと有名になって、「人のために働くぞ」って思ったけど、結局は小さな人間。また年末から忙しくしすぎて、ちょっと心が疲れてきたときに、この瞑想に参加して気づいたんです。「煩悩は生きる力だ」って。こういうどうしようもないことが人間の生きる喜びになる。
 
どうしても我々は、「大きな志をもって、社会に世の中に貢献することが素晴らしいこと」っていう固定概念がある。そういう教育を受けて育ってますからね。でも私たちのハッピーっていうのは、こういった日常の中にある。でもそれは多分、一生懸命生きているからこそ感じる充実感なんだろうなと。僕が毎日サーフィンやゴルフしてたらハッピーかというと、そうじゃない。これも塩梅だな~と思うんです。
 
“バランス”っていうのは、平均、均衡を取っているという感じで、僕はあんまり好きじゃない。一点ピタっと止まる正解値があるように思っちゃうから。どのバランスがいいかなんていう正解はない。
その点“塩梅”っていうのは極めて左右非対称なもの。「なんとなくこんな感じ」。
 
自分にとっての働きごこちの塩梅は、一人一人違います。
産まれた場所、生きてる感じ、家族、皆全然違う…。
そのいい塩梅を見つけ出すのが今僕らに必要なことで、そのヒントは身体にあるんじゃないかと。こんなことを今研究していて、次の本に書こうかなと思っています。
 
今日は好きな事をしゃべっていいということで1時間半しゃべらせていただきました。
お付き合いいただいて、ありがとうございました!

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