ヴィパッサナー瞑想体験記 ~体験としてパンニャってきたよ~ 第二話

ヴィパッサナー瞑想体験記 ~体験としてパンニャってきたよ~ 第二話

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ヴィパッサナー瞑想体験記 ~体験としてパンニャってきたよ~ 第一話

 

◆第二話 これは修行だわと感じる1日目

 
僕の住んでいる愛知県の海から、京都丹波の
ダンマバーヌ
まで車で約3時間。

ついて初めに思ったのは、「もうしゃべっちゃいけないのかな」ってことだった。

人がいるんだけど、話しかけるのに戸惑っていると、
「新しい生徒の方ですか?」と声をかけてくれた。

新しい生徒ってのは、はじめてヴィパッサナーを経験する人のこと。
2回目以降は古い生徒って呼ばれる。

軽く案内してもらって安心することができ、荷物を置いて僕は、
芝生の上のベンチに寝転がる。

4月の割には日差しは初夏のようで、
これからはじまる日々と、なんかまだ落ち着かない自分の心にざわざわしながら空を見つめていると、
やがて少しずつ生徒が集まってくる。

生徒たちは、どこから来たんですか、と会話を交わしているが、
僕はなんだか話しかける気力がわかない。

とにかくこのときの僕は、
「何かをする、しよう、したい、というためのエネルギーが足らない無気力な状態」になっていた

そんなこんなで夕方になり、受付が始まる。
スマホや財布を預け、あてがわれた部屋に行くと、そこは6人部屋。
ふとんに持参したシーツをかぶせながら、
「こんなドミトリーみたいな感じは、久しぶりだな」と心でつぶやく。

18時から食堂で、コース全体のオリエンテーションがあり、参加者が全員集まる。
男女合わせて60名ほど。そのうち3分の1くらいは外国人っぽい。
ちなみに、男女がお互いの顔が見えるくらい近くの場所に居合わせたのは、この時が最初で最後であった。
このあとは、男女は隔離される。

コースマネジャーのあいさつの後、
食事と掃除をボランティアしてくれるスタッフのあいさつ。
彼らは奉仕という形で参加し、合間時間にグループ瞑想に参加することもできるようだ。

それにしても、これだけのスタッフがみな無償で奉仕し、
運営も参加者の寄付金(ダーナ)だけで成り立ってるってすごい。

 
あいさつ後、コースマネジャーより、詳しい戒律の説明。
HPより引用する。

 
★シーラ(道徳律)

ヴィパッサナーコースに参加するすべての生徒は、コース中、次の五つの戒律を厳格に守らなければなりません。
1、生き物を殺さない。
2、盗みを働かない。
3、一切の性行為を行わない。
4、嘘をつかない。
5、酒・麻薬の類を摂らない。

 
(S.N. ゴエンカ氏またはアシスタント指導者が参加するコースを修了した)古い生徒は、次の三戒も守ります。
6、正午以降、食事を摂らない。
7、踊りや歌などの娯楽を避け、装身具などで身を飾らない。
8、ぜいたくな高い寝台で眠らない。

午後5時のティータイムには、古い生徒はミルクの入っていないお茶、または果物のジュースをとり、六番目の戒律を守ります。新しい生徒はミルクの入ったお茶と果物をとることができます。健康上の理由からこの戒律を守れない古い生徒は、コース前に指導者の許可を得てください。七番目と八番目の戒律は全員が守ります。

 

★聖なる沈黙

すべての生徒は、コースの開始から最終日の午前中まで聖なる沈黙を守らなければなりません。聖なる沈黙とは、身体・言語・精神の沈黙を指します。ジェスチャー、手話、メモ書きなど、一切のコミュニケーションは禁じられています
ただし、指導者とは必要なときに話をすることができますし、食事、宿泊設備、健康などの問題があるときは、マネージャーと話をすることができます。ただ、このような接触の機会は、最小限にとどめてください。瞑想はただ独りで行うのだ、という実感を持つことが大切です。
男女の分離
男性と女性は完全に分離されます。配偶者やカップルであっても、コース中に男女が接する機会はありません。友人、家族なども同様です。

 

★体の接触
同性、異性を問わず、コース中は体の接触を一切避けることが重要です。

 
 

その日の夜8時から、このシーラに基づいた日々がスタート。
つまり、一切話さない、書かない、読まない、聖なる沈黙を守り、
9時過ぎに床に就く。起床は4時で、1日8時間瞑想するの、修行が始まったのだ。

 
ちなみに、1日のスケジュールは次のようになる。

 
 

◆コースの時間割(HPより引用)
下記のコース時間割は、修行を継続して行うことができるように考えられたものです。修行から最もよい成果を得ることができるよう、できる限り時間割に従ってください。

午前4時:
起床

午前4時30分~6時30分:
ホールまたは自分の部屋で瞑想

午前6時30分~8時:
朝食と休憩

午前8時~9時:
ホールにてグループ瞑想

午前9時~11時:
ホールまたは自分の部屋で瞑想

午前11時~12時:
昼食

午後12時~1時:
休憩および指導者への質問

午後1時~2時30分:
ホールまたは自分の部屋で瞑想

午後2時30分~3時30分:
ホールにてグループ瞑想

午後3時30分~5時:
ホールまたは自分の部屋で瞑想

午後5時~6時:
ティータイム

午後6時~7時:
ホールにてグループ瞑想

午後7時~8時15分:
講話

午後8時15分~9時:
ホールまたは自分の部屋で瞑想

午後9時~9時30分:
ホールにて質問

午後9時30分:
就寝

 
 

ね、完全に修行でしょ?

 

 

浅い眠りにつき、4時に鐘の音で起床。
顔を洗い、4時30分に宿泊している建屋の2階にある瞑想ホールに上がる。

 
瞑想ホールでは、
アシスタント指導者である日本人の男性が、前方に座り、
向かって左側に男性30名、女性30名が、クッションに座る。

テープに録音されたゴエンカ氏の英語による指導と、日本語翻訳がホールに流れ、
瞑想のやり方が説明される。

まずは、アーナーパーナー瞑想を3日間。
これは意識を呼吸に集中させる瞑想法。
ヴィパッサナーに入る前に、まずはアーナーパーナーからスタートするのだ。

ひたすら言われるのは、
鼻に意識し、呼吸が鼻から出たり入ったりするのに、ただ意識を傾ける、ということ。

 
これは、やったことがあったので、
なんとなくわかると思いながら、やりはじめる。

しかし、集中が続かない。
たぶん、1分集中が続かない。

あたまに、モヤモヤと何かが湧いてくる。

それを、ただ洗い流そうと意識して、
もう一度鼻の呼吸に流れに意識を戻す。

そうすると、また意識がどこかに流れていってしまう。

この繰り返し。

しかもそれを手始めに朝4時30分から6時30分まで、ぶっつづける。

修行だ。

 
しかも、ゆうべあんまり眠れなくて、気が付くと意識を失うほどの眠気に襲われている。

この頃、眠りの質が低くて、夜中起きてしまったり、寝つきが悪かったりしていたのだ。

 
眠気がきたら、ちょっとだけ強い呼吸をするようにと、
ゴエンカ氏のテープがガイドしてくれるのだけど、
とても耐えられる感じじゃない。

・・・おお、これは修行だ。

 

1日目はほとんどこんなことの繰り返しだった。
瞑想が気持ちいい、という感じにはならなかった。

 

6時30分。朝食は玄米だけ。

ほんとに、玄米だけ。味噌汁もない!

玄米にすりごまと味噌を添え、ゆっくりと噛む。

こういう食事に慣れていないわけじゃないけど、
おいおい、この先ずっとこんな感じだったらどうしよう、と怯む自分。

 
部屋に戻り、少しの間横になってまどろむ。
休憩時間は自由に過ごしてよいので、
みな、黙ってそれぞれの時間を過ごす。

 
8時から、グループ瞑想。
この1時間は皆で集中して瞑想。
とにかく呼吸に集中することだけを求められる。

ひとつのことをひたすら続ける。
しかし、そのことに集中できない自分がずっとここにいる。
その繰り返し。めげる。

今日の夜も眠れなかったら、明日もこんな感じで
ずっと眠気と戦わなきゃいけないのじゃないだろうか?という恐れが心に湧く。
そうしてまた、今の目の前の呼吸から意識が離れていく。

呼吸に意識を持って行って、
余計なことを考えないようにしようとすると、
気が付くと眠気で意識が飛んでいる。

おい、どうしたらいいんだよ!と突っ込みたくなる。

どのあたりに意識を置いていたらいいのか、という塩梅がつかめない。

考えるのではなく、寝てしまうでもなく、
ちょうどいい意識の置き場所。

そこを探りながらもなかなか見えないという中で1日が終わっていく。

 
夕方5時。鐘の音を聞き食堂に行くと、フルーツが用意されている。
食事は朝と昼だけなのだ。

バナナとリンゴ、オレンジを食し、牛乳を飲む。
ただ座っているだけでも、おなかはすく。

夕方6時から1日の最後のグループ瞑想。
そして、7時からはゴエンカ氏の講話が日本語で訳されたものが流れる。

僕の心を見透かすように、
「今日はほんとうにしんどかったでしょう」とテープが語る。

・・・おう、今日はほんとしんどかった。

さて、この修行の先に何が見えるのか。

「Take a rest・・・」というメッセージが流れ、1日が終わる。

部屋に戻り、布団に潜り込む。

聖なる沈黙のため、会話もなく、ただ衣擦れの音のみ。

 
さて、今晩は寝れるだろうか・・・
眠れないことへの不安、明日を乗り切れるだろうかの不安がもたげる。

部屋のほかの人々も、どこかしら不安を感じているような気がしたが、
自分の体の疲れを感じながら目を閉じた。

 

つづく。。。

ヴィパッサナー瞑想体験記 ~体験としてパンニャってきたよ~ 第三話

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